東京金融取引所(TFX)が手掛ける取引所為替証拠金取引「くりっく365」は、2月の取引数量が前月比1.7%増の229万9028枚、1日の平均取引数量は11万4955枚と前月比で増加した。月末時点の証拠金預託額は4292億円と前月比で約17億円減少した。取引通貨量では、米ドル、メキシコペソ、トルコリラ、南アフリカランド、豪ドルの順となっている。一方、取引所株価指数証拠金取引「くりっく株365」は、2月の取引数量が前月比4.2%減の242万6904枚、1日の平均取引数量は12万1345枚(昨年10月26日に上場したリセット付商品の1日平均も加算)と前月比でやや減少した。月末時点の証拠金預託額は696億円となり、前月比で約44億円の減少となった。<br/><br/>取引数量トップは米ドル・円の44万1518枚(前月比21.0%減)であった。2月は、日米主力企業の20年10-12月期決算シーズンだった。両国において市場予想を上回る好決算が多く、会社計画の上方修正が相次いだ結果、市場心理が大きく改善した。また、新型コロナウイルスワクチンの接種ペースの加速、米バイデン政権が掲げる1.9兆ドルの大規模経済対策への期待感なども一層強まったことでマクロ環境も良化した。これを受けた景気回復期待の一層の高まりから米長期金利は上昇。日米の長期金利差が拡大し、ドル買い・円売りが進んだ。トルコリラ・円は34万5895枚(前月比69.1%増)であった。中央銀行が政策金利の据え置きを決定したほか、必要に応じて追加利上げを実施する可能性にも言及したことでリラ買い・円売りの動きが強まった。ただ、月末には、エルドアン大統領の娘婿で前財務相のアルバイラク氏の閣僚復帰報道を嫌気してリラは対円で売られた。<br/><br/>3月のドル・円は一進一退か。米国のGDPは既にコロナ禍前に近い水準まで戻しているが、バイデン政権は3月半ばには1.9兆ドルの経済対策を成立させる予定。一部の有識者からは現在のGDPギャップに対して過大で過度なインフレを招くリスクがあるとも指摘されている。こうした背景から、足元の市場では「景気過熱→インフレ加速」の懸念が台頭しており、これを映す形で米長期金利も大きく上昇している。3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でツイストオペなど長期金利の上昇を抑える具体策が示されない場合、更なる長期金利の上昇も否定できない。その場合は、日米金利差の拡大を受けたドル買い・円売りが一層進展する可能性がある。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)は金融緩和の長期化を度々強調しており、景気を冷やしかねない長期金利の急騰を放置することは考えにくい。米長期金利の上昇もハイペースで一服してもおかしくないタイミングだ。ドル買い・円売りの動きが小休止する可能性もあろう。豪ドル・円は堅調か。世界経済の回復ペースが加速しており、今では景気停滞よりも景気過熱が心配されるほどだ。経済活動の活発化やインフレ期待の高まりを受けて資源価格も上昇基調が続きそうだ。資源国であるオーストラリア経済の好転を期待して豪ドル・円も堅調な動きが予想される。<br/><br/>

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